インドのテレビ通販番組で大ヒットしているルドラークシャ
近年インドのテレビでは、ルドラークシャを宣伝して通信販売する番組が毎日長時間にわたって放送され続けてています。
その通販番組では、ルドラークシャの説明、ルドラークシャにまつわる神話、ドクターの証言、ルドラークシャで人生が変わった人々の体験談などがエンドレスに繰り返し流され続けています。
そして今では、ヒンドゥー教徒に限らず、誰もが知るほどルドラークシャは、インドの人々の間に浸透しています。このようにして知名度の上がったルドラークシャは、その需要の大幅な拡大に伴ってて品薄状態となり、需要の高さに供給が追いついていないという現状があります。
その結果、エークムキー(1面)、チャオダムキー(14面)をはじめとするレアなルドラークシャは、市場原理により、わずか4~5年の間で販売価格が何倍も高騰しているのです。
さらに、最近では、投機目的のみの中国人投資家による買占めにより、ますますルドラークシャが入手しにくくなっている現状があります。
横行する偽物のルドラークシャ
このような状況下において、ルドラークシャの偽物が横行し、本物は、非常に入手しにくい状況になっています。
それ以前にも、偽物のルドラークシャは出回っていましたが、今は、数年前の比ではありません。特にレアなルドラークシャについては、まるで骨董の世界のように、残念ながら、偽物のほうが圧倒的に多いのが現状です。
ちなみに、今のルドラークシャ人気に火をつけた通販番組で販売されているエークムキー(1面)のルドラークシャは、実は、『中国で大量生産されている樹脂製の偽物』なのですが、何も知らないインドの一般の消費者は日々騙され続けています。
このようにテレビの通販番組で大々的に販売されているものですら偽物なのですから、露天、普通の小売店で、偽物が販売されていても何の不思議もありません。
事実、この中国で大量生産されている樹脂製のルドラークシャは、テレビの通販番組だけでなく、露天、店先、インターネットなどで日々大量に販売され続けています。
ところで、このような偽物のルドラークシャは、エークムキー(1面)に限ったことではありません。アートムキー(8面)以上のレア物についても偽物が多く流通しています。
さらに、この偽物のルドラークシャは、最近では、レア物に限らず、もっともポピュラーなパーンチャムキー(5面)のルドラークシャにまで広く及んでいるのが実情であり、実際、安いネックレスやハンギングの飾りなどにこの樹脂製の偽物が使用されているのをよく見かけます。
※樹脂製の大量生産品だと「天然ものと違って同じ形のビーズがたくさん出回るため、偽物を判別しやすいのでは?」という疑問が生じます。しかし実際は、射出成形に使用する金型の種類が豊富なため、偽物の形もかなり豊富です。
本物のエークムキー(1面)のルドラークシャはどれ?
次の、ほぼ実物大のカシューナッツ形エークムキー(1面)ルドラークシャの写真をご覧ください。
この写真の3つのうち、本物は1つだけで、あとの2つは偽物です。さて、クイズです。はたして本物のエークムキー(1面)ルドラークシャはどれでしょうか?
答えは、このページの一番下にあります。
インドの古典文献で理想とされるエークムキー(1面)の条件とは?
エークムキー(1面)のルドラークシャには、よく見かけるインド産のカシューナッツ形(半月形)以外に、インド産あるいはインドネシア産の楕円形のもの、およびネパール産のラウンドタイプのものがあります。
本来、インドの古典文献に記載されている理想的なエークムキー(1面)のルドラークシャは、形が丸いネパール産のラウンドタイプのルドラークシャです。
そして、一般的に多く流通しているカシューナッツ形のタイプは、厳密には、その代用品なのです。
そのため、ルドラークシャの熱心なマニアによって探し求められているのは、ネパール産のラウンドタイプのものなのですが、実際のところ、このタイプは、あまりにも希少なため、市場には全くといっていいほど流通していません。
ちなみに、このネパール産のラウンドタイプのエークムキー(1面)ルドラークシャについては、インドに蔓延る詐欺師たちは、その偽物を数10円程度の安い価格で仕入れて、数10万円(場合によっては100万円近く)もの高値で販売していることもあるようです。
※インドには、日本円で約1千万円の高値で購入したものが、このタイプの偽物であったという詐欺の事例もあるそうです。
実は、このタイプの偽物の場合、そのもとになっているのは、ほとんどが本来は4面か5面になる予定だったルドラークシャなのです。
そのからくりは、次の通りです。 まず、本来であれば4面か5面のルドラークシャになる実を、まだ未発達の段階で採取します。そうすると、1つの溝だけがはっきりと残り、他の溝がほとんど目立たないルドラークシャのビーズ(珠)ができることがあります。
そして、このような未発達により、外見がエークムッキ(1面)のように見えるルドラークシャが、擬似エークムキー(1面)ルドラークシャとなるのです。
しかし、こうして採取されたルドラークシャは、性質は4面あるいは5面のままで、外見だけがエークムキー(1面)のルドラークシャとなるため、エークムキー(1面)としての効果は期待できません。
楕円形のエークムキー(1面)ルドラークシャ
ネパール産のラウンドタイプの次に、丸い形に近いエークムキー(1面)のルドラークシャは、インド産あるいはインドネシア産の楕円形のものです。
ところが、このタイプのエークムキー(1面)は、実は、その大多数がティーンムキー(3面)ルドラークシャの溝を2つ削ることによって、溝を1つだけ残したものです。
当店でも、数年前に、このタイプの偽物を間違って仕入れてしまった経験があります。
このルドラークシャは、加工されたものであることを知った上で再度チェックしても、どこを削って加工したのか見分けがつかないほど精巧にできています。
実は、この偽ルドラークシャは、当店の仕入れ元でも、最初は偽物であることに気付いていなかったらしく、疑惑が生じて、調べてもらったところ、偽物であることが発覚したという代物なのです。
これは、もともとルドラークシャであることは確かですが、見かけはエークムキー(1面)になっていても、性質はティーンムキー(3面)のまます。
※偽物であることが発覚した後、仕入れ先から返品して欲しいとの申し出がありましたが、今後の参考のために、今でも返品せず手元にキープしています。
ルドラークシャの真贋を見分ける方法
一般的に、ルドラークシャの本物は水に沈み、偽物は水に浮くと言われています。
しかし、これは、必ずしも真実ではありません。というのは、偽物の中にも、水に沈むもの、あるいは沈むように作られているものがあるからです。
それでは、どうすれば見分けることができるのでしょうか?
ルドラークシャを水に沈めるよりも効果的な判別方法として、ルドラークシャを沸騰した熱湯の中で煮ることにによって判別する方法があります。
ルドラークシャを沸騰した熱湯の中で煮ると、それが樹脂製の偽物であれば、その高熱によって形が変形します。
あるいは、それが、接着剤でくっつけられた偽物であれば、接着剤が外れて二つに分離するため、偽物であることが判明します。
そのため、この判別方法は、カシューナッツ形のエークムキー(1面)ルドラークシャに対して特に有効です。
ただし、この方法も、すべての偽物を見破れる方法ではありませんので完璧とは言えません。
より確実なチェック方法は、ルドラークシャのX線撮影(いわゆるレントゲン撮影)を行い、そのルドラークシャの中に入っている種の数を確認する方法と言われています。
実は、ルドラークシャの種の数は、そのムキー(面)の数と一致しています。
そのため、この方法は、X線に映されている種の数を数えることにより、そのルドラークシャの正確なムキー(面)の数を知ることができるというものです。
本当にレアなムキー(面)のルドラークシャは非常な高値で取引されているため、インドでは、用心深い人は、実際にこの方法でチェックを行っているそうです。
インドのインターネットショップの低い信頼度
インドには、多くの偽物に溢れているため、どのようなものについても、本物を入手することは容易なことではありません。
なぜなら、インドでは、ある商品がヒットすると、本物をはるかに上回る数のコピー商品が市場に氾濫するようになるからです。
ルドラークシャに限らず、白檀、水晶、宝石、貴石、金や銀、シルク、あるいはパシュミナなどの高価なものについては、特に、偽物が多く流通しているのが現状です。
また、インドは、IT技術がかなり進んでいることで有名ですが、それにもかかわらず、今のところインターネット通販はほとんど普及していません。その理由の1つとして、インドには、あまりにも詐欺サイトが多いという問題があります。
この詐欺の多さのため、インドでは、インターネットショップがあまり信用されていないのです。
たとえばインドでは、誰かがネットショップを作ると、すぐにそれをコピーした詐欺サイトが作られる傾向があるそうです。
その結果、ネットの利用者は、本物のお店と偽物のお店を見分けることができないという事情があるようです。
本物のルドラークシャの正解発表
前述の「本物のエークムキー(1面)のルドラークシャはどれ?」の正解を発表します。
正解は、向かって左です。これが、本物のエークムキー(1面)ルドラークシャです。
向かって右は、中国で大量生産された樹脂製の偽物で、テレビの通販番組でかなりの高額で販売されている商品がこれに該当しています。もちろんこのタイプは、通販番組だけでなく、一般のお店やインターネットを通じても販売されています。
最後に、真ん中は、より安価な天然のドームキー(2面)のルドラークシャをもとに、削ったり貼り合わせたりすることにより、カシューナッツ形のエークムキー(1面)ルドラークシャの形に加工したものです。